
どこかへ行く道や、駅の前。赤いポストを見たことがありますよね。
手紙を入れる、あの四角い(または丸い)赤い箱です。あまりにも当たり前にあるので、「なんで赤いんだろう」と考えたことはないかもしれません。
でも、赤い色にはちゃんと理由があります。
今日のクイズ
郵便ポストが赤い色をしているのは、なぜでしょう?
答えと解説
どうして「目立つ」ことが大事なの?

手紙を出したい人が、ポストを見つけられなかったら困ります。
町の中には、いろいろな建物や看板があります。その中にまぎれてしまう色だと、探すのに時間がかかります。
赤は、まわりの色から浮き上がって見えます。灰色の道や茶色の建物の中に赤い箱がひとつあれば、遠くからでも目に入ります。
「見つけてもらうために赤くした」。これが、記録に残っている理由です。
じつは明治43年(1910年)の逓信省の年報にも、同じ理由が書かれていたことが、郵政博物館の研究紀要(井上卓朗さんの論文、2016年)で紹介されています。当時の年報の文は、こうだったそうです。
むずかしいですね。いまの言葉になおすと、「みんなが見つけやすいように、わざわざ朱色(しゅいろ)にぬった」という意味です。朱色は、少しオレンジがかった明るい赤のことです。100年以上前の人が、ちゃんと理由を書き残してくれていたのですね。
ちょっと深堀り
①昔のポストは、まっ黒だった

ここからが、この話のおもしろいところです。
日本で郵便が始まったのは、明治4年(1871年)です。このときの最初のポストは、木でできていました。「書状集め箱(しょじょうあつめばこ)」と呼ばれていました。手紙を集める箱、という意味の名前です。
やがて郵便のしくみは、日本中へ広がっていきます。明治5年(1872年)のことでした。こうなると、それまでの箱では数が足りません。新しい形のポストが考えられました。
それが「黒塗柱箱(くろぬりはしらばこ)」です。「柱のように立っている箱」という意味の名前で、みじかく「黒ポスト」とも呼ばれます。
材料には杉の板が使われました。これを四角い柱の形に組み立てます。角の部分だけは鉄の板でおおってありました。そして全体に黒いペンキがぬられていたのです。
そう、昔のポストは赤ではなく黒だったのです。
②赤くなったのは、明治34年から

黒いポストが赤くなったのは、明治34年(1901年)のことです。
このとき登場したのが、鉄でできた赤くて丸いポストです。ただし、いきなり日本中に置かれたわけではありません。まずは「ためしに置いてみる」というやり方で始まりました。ここから、日本のポストは長いあいだ赤い丸型になっていきます。
では、なぜわざわざ鉄に作りかえたのでしょう。
郵政博物館の研究紀要(井上卓朗さんの論文)によれば、明治30年(1897年)ごろの雑誌記事に、ポストへ火のついたものを投げ入れる事件がたびたび取り上げられていたそうです。木でできた黒いポストは火にとても弱く、中の手紙が燃えてしまう心配がありました。この事情が、鉄製のポストが考えられたきっかけの一つだったと考えられています。
工夫はもうひとつありました。ポストのとがった角をなくして、丸くしてあるのです。道ばたに立っているものですから、通る人のじゃまにならないようにという工夫でした。
③明治41年時点では、文字は「金色」と決められていた

明治34年のポストは、まだ「ためし」の段階でした。
日本中のポストの形が正式に決まったのは、その7年後、明治41年(1908年)10月のことです(このきまりは「公達(こうたつ)第808号」といいます)。
このときの説明書には、改良の理由として「見た目の形」「こわれにくさ」「盗まれにくさ」「費用」の4つが挙げられています。ただし、なぜ色を赤にしたのかは、この説明書には書かれていません。
きまりの中身としては、色は朱色にすること、そしてポストの〒のマークと文字の部分は金色にすることまで書かれていました。
朱色の箱に、金色の文字。当時のポストは、いまよりもかざりけがあったのかもしれませんね。
④丸いポストはいつなくなった?
いまの町で見かけるポストは、たいてい四角い形をしています。丸いポストは、少なくなりました。
丸い形のポストは、昭和24年(1949年)に作られた「郵便差出箱1号(ゆうびんさしだしばこ1ごう・丸型)」が最後になりました。それ以降は、四角い形になっていきます。
なぜ形が変わったのでしょう。郵政博物館の説明によれば、たくさんの手紙を出したり集めたりする作業を、もっと速くするためでした。
外に出たら、見てみよう
今日、通学路や買い物の途中でポストを見かけたら、少し立ち止まって見てみてください。ポストは車の通る道のすぐそばに立っていることが多いので、道路には出ないで、安全なところから見てください。
まず、形を見てみましょう。四角いですか、それとも丸いですか。もし丸いポストが残っていたら、それは昭和24年から使われている形と同じ仲間です。かなり長生きしていることになります。
次に、まわりを見わたしてみてください。ほかにこんなに赤いものが、どれくらいありますか。きっと、あまりないはずです。だからこそ、ポストは見つけやすいのです。
- 郵便ポストの移り変わり 〜日本最初のポストから現在のポストまで〜|博物館ノート|郵政博物館
- 井上卓朗(2016)「最初の公式鋳鉄製赤色円筒形郵便柱箱 ―回転式ポストとその改良について―」,郵政博物館 研究紀要 第7号
「郵政博物館」は日本郵政株式会社が設置・運営する博物館です(運営は公益財団法人通信文化協会が受託しています)。 「日本郵政」は日本郵政株式会社の商標または登録商標です。 本記事は2026年8月11日時点で公開されている資料をもとに作成しています。