
学校へ行く道にある横断歩道。黒っぽいアスファルトの上に、白いしま模様がならんでいますよね。
毎日わたっているけれど、どうして白なのでしょう。青でも黄色でもよさそうなのに、日本中どこへ行っても白いしま模様です。
横断歩道の線には、なぜ白色が使われているのでしょうか?
今日のクイズ
横断歩道の線は、なぜ白いのでしょう?
答えと解説
黒と白は、いちばん遠い組み合わせ

道路の色を思いうかべてみてください。ほとんどが黒っぽい灰色です。
明るさでくらべると、黒はいちばん暗い色、白はいちばん明るい色です。
つまり黒と白は、明るさのちがいがいちばん大きい組み合わせなのです。
だから黒っぽい道路の上にかくとき、白がいちばんはっきり浮かび上がります。もし道路と似た色でかいてしまったら、運転している人は横断歩道を見つけられません。
車はブレーキをふんでも、すぐには止まれません。遠くから「あ、横断歩道だ」と気づいてもらうことが、なにより「安全」のために大事なのです。
法律でも「白」と決められている

じつは日本には「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」という、道路のかき方を決めたきまりがあります。
このきまりを見てみると、横断歩道の色として、はっきり「白」と書かれています。だからかってに別の色にすることはできません。
ちなみに同じきまりの中で、黄色は別のはたらきをしています。中央線の黄色い線や、道のはしの黄色い線を見たことがありませんか。あれは「はみ出してはいけない」「止まってはいけない」という、してはいけないことを伝える色として使われています。
白と黄色で役わりが分かれている、というわけです。
夜でもさらにわかりやすくする「しかけ」

横断歩道には、暗い夜でもわかりやすくする「しかけ」があります。
横断歩道をかくペンキの中には、とても小さなガラスのつぶがたくさん混ぜてあるのです。路面標示材協会という、道路の線をかく材料をあつかう団体の説明によると、横断歩道などに使われるペンキには、このガラスのつぶが重さの15〜25パーセント以上も入っているそうです。
このガラスのつぶには、おもしろい性質があります。光が当たると、その光を「来た方向」へまっすぐ返すのです。
車のライトの光が横断歩道に当たると、光はまっすぐ運転席の方へはね返ってきます。だから夜、車から見ると横断歩道がぼうっと白く光って見えるのです。
道を歩いているときにはただの白い線にしか見えませんが、運転席から見ると、まったくちがう顔をしているというわけです。
昔の横断歩道は、今とちがう形だった
じつはもうひとつ、おもしろい話があります。
今の横断歩道は、横向きのしま模様だけですよね。でも昔は、しま模様の両はしに、たてに長い線が引かれていました。上から見ると、はしごのような形だったのです。
これがなくなったのは1992年(平成4年)11月のことでした。きまりが変わって、今のしま模様だけの形になりました。
なぜ、たての線をやめたのでしょう。
当時の新聞に、警察庁の説明がのっています。国立国会図書館のレファレンス協同データベースという記録によると、朝日新聞の1992年11月25日夕刊に、こう書かれていたそうです。
たての線は車のタイヤでけずれて消えやすかったこと。そして線でかこんでしまうと雨水がたまりやすく、水はけが悪くなって、車がすべる原因にもなっていたこと。たての線をやめれば工事も短い時間で終わり、費用も安くすむこと。
線を1本減らしただけに見えますが、水たまりが減って、車がすべりにくくなっていたのです。
おうちの人や近所のお年よりに「昔の横断歩道って、はしごみたいな形だった?」と聞いてみてください。覚えている人がいるかもしれません。
さらに深掘り!
白くない横断歩道もある
日本には、赤色が使われている横断歩道もあります。青いものも、緑のものもあります。
法律で白と決まっているのに、どうしてでしょう。
じつは、きまりがあるのは「線」だけなのです。線と線の「あいだ」については何も書かれていません。だから道路を管理している国や県の判断で、あいだの部分に色をぬることができます。
色つきの横断歩道をよく見てみてください。白いしま模様はそのまま残っていて、そのすきまが赤や青になっているはずです。
こういう工夫がとくに必要だったのが、北海道でした。読売新聞の記事によると、北海道は道路が雪におおわれる期間が長い場所です。まわりが真っ白になると、白い線もまぎれてしまい、横断歩道が分かりにくくなります。そこで色をぬる工夫が始まりました。
効果は大きかったそうです。北海道では国道だけでおよそ100か所が色つきになり、車が人にぶつかってしまう事故は、色をぬる前の1年に平均16.3件から、ぬったあとは6.8件に減ったと伝えられています。半分以下です。
まとめ
横断歩道の線が白いのは、黒っぽい道路の上でいちばんはっきり見えるからです。法律でも横断歩道の色は白と決められています。
さらにペンキの中には小さなガラスのつぶが混ぜてあり、車のライトの光を来た方向へ返すので、夜は運転席から白く光って見えます。
昔の横断歩道は両はしにたての線がある「はしご型」でしたが、水がたまって車がすべる原因になるため、1992年になくなりました。
今日、横断歩道をわたるときに少しだけ立ち止まって、白い線をよく見てみてください。太陽の光の角度によっては、混ぜてあるガラスのつぶがきらきら光るのが分かるかもしれません。
- 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和三十五年総理府・建設省令第三号)|e-Gov法令検索
- 路面標示材の基礎知識|路面標示材協会
- 横断歩道の両側の縦線がなくなったのはいつからか。また、その理由がわかったら知りたい。|レファレンス協同データベース(国立国会図書館(朝日新聞1992年5月16日朝刊・同年11月25日夕刊に掲載された警察庁の説明を含む))
- 「ちょっと不気味?」赤白の横断歩道、視認性上がり事故減少…青白や緑と白も登場|読売新聞オンライン(2022年10月12日)
色つき横断歩道の箇所数・事故件数は、出典記事が公開された2022年10月時点の内容にもとづいています。その後、数や場所は変わっている可能性があります。「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」は日本の法令の名称です。